理想を押し付けるところがいかにも日本人らしいと思った事例

Twitterで、とある居酒屋が完全禁煙に移行するというツイートありました。リンク貼ると個人攻撃になりそうなので控えるけど、まずは、この宣言に多くの人が賞賛。

そのうちの1人(仮にAさんとしましょう)が、「応援している」「除染もしっかりやって」というリプ。

で、店側は「そこまではやらん」と。

ここからAさんと店側が揉め始めました。

Aさん曰く、もともと喫煙可能だった場所だったのだから、壁などに有害物質がべったり付いている、これでは喫煙所と変わらないと批判するんですね。「三次受動喫煙」とおっしゃるわけです。

この後、店側とのやり取りの後、「じゃあ行きたくない」という結論に至ったわけです。

Aさんの気持ちはわからんでもないが、ちょっと理想押しつけすぎ

このやり取りはとても興味深かったです。

いかにも日本人らしいというか、ネットなんかでも似たような光景をよく目にしますね。

まず、この居酒屋は今までの状態よりベターな方に改善する努力をしたわけです。もしかして喫煙者の常連さんを失うという大きなリスクを払うことになります。

そこに、畳み込むようにし、理想を押し付けるAさんが現れます。

このAさんの言っていることは、実は正論で、「三次喫煙」はWikipediaにも載っています。

三次喫煙(さんじきつえん)とは、タバコを消した後の残留物から有害物質を吸入することを指す。残留受動喫煙(ざんりゅうじゅどうきつえん)、サードハンドスモーク(third-hand smoke)ともいう。

(中略)

「二次喫煙」が短い期間でその空間から消えた後も、ニコチンと他の要素は表面を覆って毒素を発し続ける傾向がある[1]。2010年にPNAS誌で発表された調査結果により、車や部屋の内部に残留するタバコのニコチンが、大気中の亜硝酸と反応して発がん物質であるニトロソアミンがつくられることが判明した。長い間喫煙されていた車両の内部を拭くのに使ったセルロース基質の亜硝酸が、一般的な家でみつかる 4-12倍のレベルの濃度であることが示された。

Wikipediaより抜粋

理論的には正しいのです。

ただ、どれだけ支配的か?という点で考えると、若干ヒステリック気味と思います。

理論的には説明できても臨床例がないとか、あってもごく稀なケースってよくあるのですが、この三次受動喫煙も調べてみると、そんな立ち位置な気がします。

他の例でいうと、室内の壁材だって厳密には発がん性物質はあります。新築は特にそうだし、古い家でも「理論的には」まだ発がん性物質が残っています。しかし、それをアスベストと同列に語られたら、さすがにやり過ぎだと思うでしょう。

この三次受動喫煙はそれに近いかな、というのが今の僕の印象です。

「行かない」と言い切ったAさんは矛盾している

居酒屋のほとんどは喫煙可です。分煙もしていません。

僕のいる街の居酒屋で禁煙しているところは皆無。おそらく全国のほとんどの居酒屋では普通に喫煙OKなのでしょう。

Aさんは、禁煙にシフトした居酒屋に「除染しない」という理由で「行かない」と判断したのですが、じゃあ、それ以外の居酒屋はどうかって言えば「喫煙可」なのです。「喫煙可」の居酒屋に行くということになり、これは矛盾してますね。

まあ、もっともそこまで求める人なので居酒屋自体行かないのでしょうけど。それだと矛盾はしていないですね。

ただ、ほとんどの居酒屋が喫煙可である今の局面では、Aさんの理想ではないにしろ、禁煙に舵を切った居酒屋をまずは支持すべきだと思いますね。

むしろ積極的に行って、全国の居酒屋が「禁煙の方が合理的」だって認知されて、どんどん禁煙の居酒屋が増えて、で、そうなってくると、今度は「除染もしっかりやろう」という居酒屋が必ず現れます。

そうやって、Aさん自身の理想に近づけていけばいいわけで、いきなり今の局面で理想しか認めない態度より、ずっと早く理想に到達すると思うのです。

Aさん自身は行かなくていいんだけど(三次受動喫煙を気にするくらいだから居酒屋自体行かないのだと思うけど)、周囲に宣伝するとか、Twitterで拡散させるとか、できるところからやればいいんじゃないかな。

ただ、店側の態度もちょっと気になった

Aさんの「除染もお願い」という要望に、「やりません」と言い切ってしまった店もちょっと正直すぎるなって思いました。

「出来る限りがんばります」くらいの言い方でも良かったんじゃないかなって思いました。

「極論だ」って言っていたけど、そこはもう少し言い方があったんじゃないかなって思います。

現に清掃は毎日しているようで、「完璧までは行かないけど、出来る限りがんばります」くらいのことは言って良いんじゃないかなって。


いずれにしても、改善の過程で理想を押し付けるという場面は、ちょくちょく目にしますが、その最たるものが「福島の放射線問題」かなって。

厳密に言うと、今の微量な放射線も「全く人体に影響はない」とは言えないのです。

現時点での福島第一原発近隣を除けば、0.2μSv/hr以下です。全国平均よりは若干高めですが、この0.2μSv/hrが「人体に全く影響ない」といえば嘘になります。理論的には影響あります。

しかし、それ以外のバラツキの方が大きく、例えば宇宙からだって年0.4程度、地面からだって0.5程度の放射線が発生しています。鉱物や飛行機内や病院のレントゲンだってあるし、それらの総和のバラツキの方が大きいんですね。

理論的には影響あるので「ヤバイ」って言っている人と、バラツキに埋もれる程度だから「問題ない」と言っている人に分かれてしまっているのが、今の放射線問題なのです。

僕は後者派なのですが、今回の禁煙・除染騒動も構造が似ているなーって思いました。

ただ、そんな理想を押し付けるのっていかにも日本人らしいなって思いました。古くは公園の遊具を撤去してしまうほどですからね。

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